「村雲の方がきれいだけど」
「えっ…!」
「浴衣も、かわいいし」
「!!」
ぶわっと、顔が熱くなるのを自覚した。
花火がしゅうぅ、と勢いを落として暗くなると、幸村くんは一歩、二歩と近づいてくる。
わ、わ…っ!
「貸して」
「…は、はいっ」
あ、花火のこと、と気づいて、燃え尽きたそれを渡すと、また手が当たってしまった。
びくっとするあまり、花火を落としてしまってしゃがみこもうとすると、幸村くんに手をつかまれる。
「…」
「ゆ、幸村く…」
暗い中、幸村くんの顔を見るけど、視線は合わない。
でも、ぎゅっと、手を繋ぐように握り直されて、私の心臓はばくばくと速くなった。
3秒経って、私からも手を握り返す。
「芽衣、新しいの持ってきたよ」
「「!」」



