名前を呼ぶと、晴斗くんの方に向いていた顔がこっちに向いて、目が合う。

 でも気恥ずかしくて、お互いにパッと目をそらした。

 しゅうう、と音を立てる花火を見て、時間を置いてからちらりととなりを見ると、幸村くんも手に持った花火を見ている。


 花火に下からぼんやりと照らされた横顔に見惚れていると、メガネのレンズに花火が映っていることに気づいた。

 まっすぐ、勢いよく吹き出して、先が垂れるように下がっている、緑色の花火。

 レンズに映っている花火も、きれいだな…。




「…なに?」


「え?」


「じっと、見てるから…」




 幸村くんの声で、メガネのレンズから、その奥の瞳に視線を移すと、幸村くんは恥ずかしがるように目をそらしていた。




「あ、その、きれいだなって!」




 慌てて弁解すると、幸村くんはおどろいたようにぱちりとまばたきをして、私を見る。