小さく答えてぺこりと会釈すると、重い段ボール箱を、軽く跳ねるようにまた持ち上げる。
そのまま前を向いて歩き出した私の横に、影が落ちて腕が軽くなった。
「うわ、重いな」
私の目は、横から伸びてきた腕に取り上げられた段ボール箱を捉えて、丸くなる。
幸村くんは流し目で私を見た。
「どこまで運ぶの?」
「えっと、奥の倉庫に…」
思わず答えてから、ええ?と混乱する。
だって、練習中じゃなかったの?
幸村くん、男子なのに。
私たち、話したことだってないし…。
「こっち?」
「あ、はい…」
歩き出す幸村くんに、慌てて付いて行く。
自分で持ちますよ、と言っても、「大変でしょ」と返されて、私はただ幸村くんのとなりを歩く人になってしまった。
倉庫に着いて、荷物を置くところまで幸村くんが代わりにやってくれて。
廊下に出たあと、扉のカギを閉めてから、私は彼に向き直った。



