【短】片想い、再会の時は奇跡のように

 ホッとしたように、友だちに向けてふにゃりと笑う顔があまりにもかわいくて、目が離せなくなった。

 それを言葉にするなら、たぶん、ひとめぼれ、ってやつなんだと思う。




「千秋~!」




 友だちに肩を叩かれても、しばらく彼女に視線をうばわれていた。

 名前も、学年も知らない。

 でも、見かけるたびに目で追ってしまう。


 そんな存在。


 いつか話したいと思ってた。

 でも、なんの関わりもない俺にそんな機会が訪れるわけもなくて。

 部活の室内練習中に、彼女と話す機会があったのは、ほんと、夢みたいな奇跡だった。




「あの、幸村くん。ありがとうございました」




 名前、知られてたのうれしいし。

 男が苦手なはずなのに、目を見て伝えてくれたのもうれしいし。

 でも、ここで話しこむのも変だし。