玲香に絡まれて、少しふり返った幸村くんは、無言で目をそらす。
ど、どういう反応なんだろう…。
「当たりね。しかも文学的な子でしょ!桃が好きな」
玲香がどういう基準で予想してるのかわからないけど、幸村くんは完全に前を向いてしまった。
玲香に呆れちゃったのかな。
それとも、本当に玲香の予想が正解…?
私は無意識に中学の同級生を思い出す。
髪が長くて、大人しめで、文学的で、桃が好きで…。
いたかな、そんな子…私が知らない人…?
「おい、どうなんだよ千秋!」
「うるせぇ」
「ふふん、女の勘は当たるのよ。芽衣は好きな男子いるんだっけ?」
「えっ!?」
そこでなんで私にふるの!?
おどろいて玲香を見ると、じぃっと見つめられる。
助けを求めるように前を見れば、晴斗くんもらんらんと私を見ていて。
幸村くんまでもが、少しふり返って私を見ていた。



