「は、」


「こいつの言うことなんて真に受けなくていいのに、芽衣(めい)!」




 玲香に顔を覗きこまれて、「えっと、ごめん…?」と背もたれに背中をあずけた。

 そのタイミングで、車も動き出す。




「くぅ~、かわいい~!」


「…調子に乗るな」


「そうよ!芽衣がやさしいからって…!」




 晴斗くんがなにかを噛み締めるように目をつむると、幸村くんと玲香からツッコミが入る。

 私は「あはは…」と苦笑いすることしかできなかったのだけど、ちらっと幸村くんにこっちを見られた気がして、ドキッと心臓が跳ねた。




「外野がうるせーな~。ほら、次は千秋の番!“芽衣”ちゃんとの関係も教えろ!」




 幸村くんに視線を向けたときには、晴斗くんがそう言って、幸村くんの視線を動かしていて…。

 さっきのが気のせいだったのか、たしかめることはできなかった。