「えっ?そ、そんなことないよ。ぜんぜん話したことないし…」


「ふーん…じゃあなんで芽衣の好きな物、わかったんだろ。あたし、たしかに芽衣の分はピーチティーでってママたちに頼んだけど」


「え…?」




 玲香が幸村くんを見ながら、ビニール袋の中に手を入れて取り出したのは、オレンジジュース。

 ピーチティー、スポーツドリンク、オレンジジュースの中から、幸村くんが私に渡してくれたのは、私が好きなピーチティー…。

 たしかに、なんでなんだろう。


 偶然、だったのかな…?

 それとも…。

 …なんて、考えすぎだよね。


 私は幸村くんの背中を見ながら、とくとくと音を立てる鼓動を理性で押しこめた。