【短】片想い、再会の時は奇跡のように



 幸村くんは顔を(そむ)けて、口元を手の甲でおおう。

 私も動揺が抜けきらないまま、玲香に説明してから、ごくりと唾を飲んだ。


 ものすごく、びっくりしてる。

 心臓が止まるかと思ったくらい。


 そのとき、顔を背けたままの幸村くんの視線が、ちらりと、こちらを向いた。




「へ~!なぁなぁ、じゃあ紹介してくれよっ」


「ちょっと、芽衣に手ぇ出したら承知しないかんね!」


「おなじクラスだった、ってだけだし…」




 甚兵衛を着た男子に絡まれて、幸村くんの視線はそれる。


 な、なんで今、見られたんだろう…。

 浴衣姿、どこか変だったかな…?

 うぅ、気になる…!




「ん?友だち2人、来たみたいだな」


「初めまして、玲香の母です。これ、よかったらどうぞ。好きな物を飲んでね」


「あ、パパ、ママ」


「お~!おばさんサンキュー!」