車の影から出てきた玲香が私の方にかけよってくると、甚兵衛を着た男子もひょっこり顔を出す。
その男子に肩を組まれて車の影から出てきたのは、茶色の髪に、メガネをかけた男子だった。
シンプルな白のTシャツに、黒のスキニーパンツを履いている彼は…。
「え、村雲…?」
「幸村、くん…」
私の初恋の相手、幸村千秋くん。
幸村くんはいやそうな顔をして出てきたけど、私を視界に収めるなり、目を丸くしておどろきをあらわにした。
初めて会話した日も含めて、たった4回話しただけなのに、名前、覚えててくれたんだ。
ううん。それよりもなんでこんなところに、幸村くんが…!?
「え、千秋、知り合いなのか!?」
「え~、芽衣たち知り合いなの!?すごい偶然!」
「っ、中学んときの…」
「えっと、3年のとき、クラスメイトで…」



