「それにしても、以前とまったくかわっていないのに」

 姿形は以前とまったく同じで、力に目覚めたというような変化はまったく見られない。

「今夜は疲れたわ。考えるのは明日にして、とにかく休みましょう」

 あらためて鏡に近づくと、着用しているドレスはシワだらけになっている。

「それはそうね。馬車の床上で長い間眠っていたみたいだし、階段から落ちたりもしたから。だったら、このまま横になっても構わないわよね」

 これ以上、シワも出来ないでしょう。

 ドレスじたい、お母様の形見のドレスを手直ししながら着用しているので着古してしまっている。