一体どこで間違えた? 一体何を間違えた?

 ……分からない。どこから道を踏み外してしまったのか。

 俺には香しかいない。それだけは揺るがない。

 なのに、こんなのは――生き地獄、だ。



「……お前、どうして香に関わった?」

「…………あー、君が彼氏君? 初対面で胸倉掴んでくるのは、良くないと思うけどね。」

 体育祭が差し迫っていたある日、テントを張る為に外へ出ていた俺は本人に聞く事にした。

 教師の目を盗んで大学内に来れるのは、ちょうどよかった。

 偶然大学の中庭に居たそいつを呼び出し、校舎裏に連れていく。

 それが今の現状だ。

「質問に答えろ。お前はどうして、俺の彼女に関わったんだ。」

「……君には関係ないと思うけどね。」

「大ありだ。俺は香の恋人だ。聞く権利はあるだろう?」

「ふっ……確かに、理にはかなってるね。まぁいいよ、言っておいたほうがいいかもしれないし言っておくよ。」

 その前に離してくれないかな?と余裕そうに呟くそいつに、チッと舌打ちしそうになる。