「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

 それを聞いてから、改めてもう一度ニーナは、エドヴィン王子の方を見ると、ぶつぶつと何かを言っている事に気づいた。

「綺麗だよ……ここも見ていいかな……」
「隠さないで、恥ずかしがらないで僕を見て……」

 と、文字だけそのまま書きとるなら、本当に塗れ場のヒーロー目線なのだが、それを血走った目で、頭を掻きむしりながら棒読みでぶつぶつと暗記するために呟いているエドヴィン王子が、哀れで、そして少しキモいと思ったニーナだった。

「アレクサンドラ様、まさかとは思うのですが……あれを、全部の本でさせるおつもりですか?」
「当然でしょう」

 顔色1つ変えず、なんて恐ろしいことを言うんだと、ニーナは思った。

 ざっと見ただけで100冊は超える蜜愛文庫。
 それをあの調子で、書き取り音読をエドヴィン王子にさせてしまったら、せっかくの国宝級美形がゾンビのように溶けてしまうとニーナは思ってしまった。
 それくらい、今のエドヴィン王子からは悲壮感しか醸し出されていなかった。

「あの、流石に気の毒な気が」
「あら、じゃあ他に何かいい方法があるの?あのヘタレがベッドまでリードできるように躾ける方法」
「ん〜…………」

 ニーナはそれはそれで不安はあった。
 このまま野に放ってしまえば、お花畑でうふふあははと追いかけっこするだけでも満足するエドヴィン王子のまま、リーゼと直接対決させることになるから。