メガネを壊され。
 訳もわからずエドヴィン王子と共に外出させられ。
 連れて行かれた喫茶店で代わりのメガネも使い物にならない状態にされ。
 さらにエドヴィン王子はいつの間にか消えて。
 代わりに初対面の男性に連れ出される。
 そんな、とんでもない1日を過ごした次の日に、リーゼはいつもと違う様子を見せてきたのだった。

「ねえ、ニーナ」
「なんでしょうか?」
「メガネは、いつ直るのかしら?」
「…………1週間程は、かかるのではないかと……」
「そう…………」

 リーゼはそう言うと、ため息をつきながら窓の外を眺めていた。
 ニーナは、例の企みのこともあるので、より仮説を確証に近づけるために、この質問をぶつけてみることにした。

「リーゼ様……昨日の男性のことですが」
「えっ!?その人のことなんか考えてないわよ!」
「まだ何も言ってませんよ」
「あ……ええと……な、なんでもなくて……そうだわ!頼んでいた木材は」
「ダメですよ。メガネ直るまで彫刻ダメ絶対」
「…………そう……よね……」

 そう言うと、またリーゼは窓の外を見て、ぽーっと顔を真っ赤にさせていた。
 
 殿下。あんたマジで昨日何しやがったんだ?

 この現象はニーナの中で確信ハンコをぺたっと押すのに十分な出来事。
 リーゼは、前日に推しカプを追いかけるために連れ回した男性に心惹かれているということ。