「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

「あら?」

 リーゼは、慣れた手つきでメガネをかけてすぐ、その違和感に気づいた。
 当然だ。元の自分のメガネよりは元々見づらかったメガネであったが、それがさらに見づらくなっているのだから……。

「どうしましょう、このメガネも壊れてしまったのかしら」

 メガネがちゃんと機能しなくては、推し鑑賞に支障が出る。
 目で愛でることができないから。

「そ、そしたらですね……」

 そんなリーゼの「推し鑑賞」という言葉を聞き、別の意味で動揺し、冷や汗ダラダラのエドヴィン王子ではあったが、すでに真後ろで出されてるカンペをを見ながらこう言った。

「俺と一緒に、新しいメガネを買いに行きますか?」
「新しいメガネ、ですか?」
「はい」
「でも、メガネってとても値段高いってニーナが教えてくれたのよ」
「そうですね……?」

 エドヴィン王子は、物の値段の相場は知らなかったので、いまいちリーゼが言ってることが分からなかったが「とりあえず本題を言うまで男は黙って頷け、話かそれからだ」というニーナによるアドバイスをしっかりと実践した。

「そうなの。値段を聞いた時びっくりしちゃったわ。2つの本棚に同人誌が敷き詰められる程の値段だったんだもの」
「どーじん……?」

 さっきニーナから聞いた言葉だったが、意味をちゃんと教えてもらってなかったので、とりあえず

「そうですね」

 と頷いてみた。すると

「あなたも、同人誌のこと知っているの!?」

 リーゼの目がものすごく輝いてしまった。
 そして、それを見たニーナは思った。
 あれは、まずいことになるぞ、と。