「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

 いきなり自分のことをリーゼがつぶやいたので、エドヴィン王子は驚いた。

「え?俺が何?」

 と、咄嗟に聞いてしまいそうになったが、それがギリギリの理性で抑えた。

「殿下……って、エドヴィン殿下のことですか?」

 自分で自分のことを殿下というのは、なんだか気恥ずかしかったが致し方がない。
 なぜ、リーゼが自分のことを囁いたのか。
 そこに、リーゼからの自分の想いがあるのか。
 それをエドヴィン王子はどうしてもリーゼの口から聞いてみたかった。
 だから

「はい!もちろんです!」

 と、笑顔で肯定されたことが、とても嬉しかった。

「ど、どうして……殿下を眺めてみたいんですか?」

 エドヴィン王子は、期待に胸を踊らせながら尋ねた。
 それは、エドヴィン王子の勝手な解釈として「リーゼが、エドヴィン王子……つまり自分と一緒にいたい」があったから。

 そして、リーゼから返ってきた言葉は……。

「殿下の、太陽よりも輝き、風のような爽やかなお姿は、きっとこの青い空の下で映えると思うんですよね」

 だった。
 これを、恋する男に勘違いするな、という方がさぞ酷だっただろう。