「……は?」
エドヴィン王子は、自分からこんなに間抜けな声が出るなんて知らなかった。
簡単に忘れられるような顔ではないと、自負していたエドヴィン王子だったが、それは勘違いだったのだろうか……と、自信を無くしそうになった。
だが、エドヴィン王子の悩みが全て杞憂であったことを、この次のリーゼの言葉のおかげで知った。
「申し訳ございません、メガネをカラスに取られてしまったみたいで」
「え?か、カラス?」
エドヴィン王子の周囲にメガネを使っている人間はほとんどいない。
せいぜい父である王に仕えている、初老の侍従くらい。
そのため、「メガネをカラスに取られる」の状況が理解できなかった。
だが、リーゼの話が続きそうなので、まずは黙って聞くことにした。
「はい。温泉の湯気でメガネが曇ってしまって……メガネを拭いていたのですが、その時カラスに取られてしまったみたいで」
「そ、そんなことがあるのか……」
「みたいですね。私も驚いてしまいました」
もし、自分がその現場にいたら、速攻でカラスからメガネを取り返す、リーゼだけの騎士になれたのではと思うと、エドヴィン王子は少しがっかりした。
ただ一方で、「驚いてしまいまして」と言いながらも恥ずかしそうにはにかむリーゼの表情が、あまりにも可愛すぎるため、エドヴィン王子はリーゼが自分のタコのような色になっているであろう、情けない顔を認識できないことをほんの少し喜んだ。
「それで……どちら様です?」
リーゼが再び尋ねた。
理由がわかったので、安心して本当のことを伝えようと思ったが、ふと思った。
他人のふりをして、自分に対する思いを聞いてみようかと。
エドヴィン王子は、自分からこんなに間抜けな声が出るなんて知らなかった。
簡単に忘れられるような顔ではないと、自負していたエドヴィン王子だったが、それは勘違いだったのだろうか……と、自信を無くしそうになった。
だが、エドヴィン王子の悩みが全て杞憂であったことを、この次のリーゼの言葉のおかげで知った。
「申し訳ございません、メガネをカラスに取られてしまったみたいで」
「え?か、カラス?」
エドヴィン王子の周囲にメガネを使っている人間はほとんどいない。
せいぜい父である王に仕えている、初老の侍従くらい。
そのため、「メガネをカラスに取られる」の状況が理解できなかった。
だが、リーゼの話が続きそうなので、まずは黙って聞くことにした。
「はい。温泉の湯気でメガネが曇ってしまって……メガネを拭いていたのですが、その時カラスに取られてしまったみたいで」
「そ、そんなことがあるのか……」
「みたいですね。私も驚いてしまいました」
もし、自分がその現場にいたら、速攻でカラスからメガネを取り返す、リーゼだけの騎士になれたのではと思うと、エドヴィン王子は少しがっかりした。
ただ一方で、「驚いてしまいまして」と言いながらも恥ずかしそうにはにかむリーゼの表情が、あまりにも可愛すぎるため、エドヴィン王子はリーゼが自分のタコのような色になっているであろう、情けない顔を認識できないことをほんの少し喜んだ。
「それで……どちら様です?」
リーゼが再び尋ねた。
理由がわかったので、安心して本当のことを伝えようと思ったが、ふと思った。
他人のふりをして、自分に対する思いを聞いてみようかと。



