14歳で初めて舞踏会で会ってから、今日まで約4年。
 エドヴィン王子が、男爵令嬢であるリーゼと会える機会はそんなに多くはなかった。
 確実に会える機会は、城が主催する舞踏会のみ。
 招待状をこちらから送れば良いのだから。
 ただ、男爵令嬢であるリーゼを招待するには、彼女よりも身分が高い公爵・侯爵・伯爵・子爵令嬢も招待しなくては示しがつかない。
 その結果、毎度の如く大勢の令嬢達が、舞踏会の度におまけとしてくっついてきていた。
 そんな舞踏会が繰り返されたら、誰もが思うだろう。

「この舞踏会は、王子の将来の相手を見つけるために定期的に開かれているのだろう」

 こう考えた貴族たちが考えることはシンプル。
 どうやって、自分の娘を王子に売り込もうか?
 まさに、貴族同士のバトルが始まってしまったのだ。

「殿下、お招きいただきありがとうございます」

 そんな風に、父親に連れられて挨拶に来る令嬢の数は覚えていない。
 延々と挨拶をさせられただけならいざ知らず、グイグイと自分のことを覚えてもらおうとアピールする令嬢の圧に、げんなりした自分の感情の方が、すぐに思い出せる。
 それに何より、唯一本当に話したかったリーゼとだけ、全く話せない状態が何回も続いた。

 しんどい、無理。

 ただ、リーゼともっと仲良くなりたいだけだったのに、どうしてこんな苦労をしなければならないのかと、エドヴィン王子は後悔していた。

 そんなエドヴィン王子への貴族たちの「うちの娘いかがですか?」攻撃だったが、ある日突然止まった。
 エドヴィン王子15歳になった頃の事……。