「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

「聞かせてもらおうか。その作戦とやらを」
「ここで話す意味が分かりません」
「……本当は、作戦なんて、ないんだろう?でなければ昨日、このデデデデートの流れを決めた時に話題に出ているはずだからな」
「デートって言葉を言い慣れてないからって、そこでどもっているようでは、童貞臭がプンプンしてリーゼ様に呆れられますわ」
「いいじゃないか。好きな女以外抱かないと決めた男の、一体何が悪い」
「いいですこと。この世の中ギャップ萌えという言葉があるのです」
「ぎゃっ……え?」

 アレクサンドラは、ため息をつきながらご自慢の扇子を取り出してエドヴィンの頭をぺしっと叩いた。

「一見、女遊びが激しそうな女が、実は自分にしか体を見せない……と考えたら、殿下はどう思います?」
「どうって……」
「え、こいつそんな面があったの、かわいいじゃんと思いません?」
「別に」
「は?」
「彼女は他の男と遊んでそうとは思わないから」
「……………………殿下には、例え話は通じなさそうなので率直に申し上げます」
「バカにされたような気がするんだが」

 エドヴィンの微かな反抗を再び華麗にスルーしたアレクサンドラは、リーゼには聞こえないほどほどの声でこう宣言した。

「良いですこと。女という生き物は誰しもギャップに弱いんですの。一見弱そうなのにしっかりしてる、もしくは一見強そうなのに弱いところもある。そのどちらかは、女を攻略する鉄板中の鉄板なの!」
「な、なるほど?」
「殿下に一見強そうなのに〜の作戦は使えないので、その逆で攻めてもらいます」
「俺は弱そうっていうことか」
「名付けて」
「聞け!」
「ああ、殿下ってこんなに男として頼もしいお方ですのね!作戦!」

 ……作戦名のダサさは少々気になったものの、頼もしいお方ですのね、とリーゼの声でとても言われたいと思ったエドヴィン王子は、素直に自分の欲に従い、こくりと頷いた。