次の日。エントランスにて。
「あの……エドヴィン殿下……?」
エドヴィン王子付きの侍従の1人は、恐る恐る声をかけた。
「何だ?」
「あの……さっきから何をしていらっしゃるんですか?」
「腕を組む練習」
「は?」
うでをくむれんしゅう?
侍従は、自分が知っている内容で正しいのか、脳の中で言葉をもう1回組み立ててみたところ、ちゃんとエドヴィン王子の仕草と脳内の文字が一致してしまった。
「何故、そんなことを?」
「決まっているだろう。彼女をリードするためだ」
「は、はぁ……」
侍従は、エドヴィン王子の思い人がリーゼであることを、これまでの諸々で十二分に理解していた。
だからこそ、侍従には理解不可能なことがあった。
どうして、あの極上のアレクサンドラではなく、ちょっとそこらへんにいる、ちょっと可愛い程度のリーゼが、エドヴィン王子の心をここまで掴んだのか。
「殿下ほどのお方であれば、ただそこに立っているだけで女性の心をお掴みになるのでは」
「それではダメなんだ……」
「え」
「俺の存在を、彼女にとって心地よいと思ってもらわなければ……俺は観察対象なんかじゃないことを証明しなければいけないんだ」
「は、はぁ……」
「そうでなければ、俺はアレクサンドラとセットじゃないと彼女にとって存在意義のない存在になってしまう」
「はい?」
「そうなるくらいなら、地獄に行った方がマシだ」
ただ相槌を打っているだけなのに、どんどん勝手に闇に落ちているエドヴィン王子を、侍従はどう扱っていいか分からなくなっていく。
その時だった。
「お待たせいたしました、殿下」
侍従には聞きなれない、凛とした女性の声がしたかと思うと、エドヴィン王子はハッと、顔をあげた。
まるで、餌を持ってきた飼い主を見て興奮したワンコのようだ、と侍従は思って、笑いを堪えるために口を抑えた。
「な、何で……」
「この姿がよろしいかと思いまして」
「最高ですニーナ様」
「え?ニーナ?何の話を誰としているの?あなたのことをニーナ様と呼ぶのは誰?」
「気にしなくて良いんですよーでもそろそろ、声でくらいは気づくようにしましょうねー可哀想なんで」
そこにいたのは、エドヴィン王子が一目惚れした時の妖精リーゼの姿、そのまま。
ちなみに、普段かけているリーゼのメガネは、ない。
「あの……エドヴィン殿下……?」
エドヴィン王子付きの侍従の1人は、恐る恐る声をかけた。
「何だ?」
「あの……さっきから何をしていらっしゃるんですか?」
「腕を組む練習」
「は?」
うでをくむれんしゅう?
侍従は、自分が知っている内容で正しいのか、脳の中で言葉をもう1回組み立ててみたところ、ちゃんとエドヴィン王子の仕草と脳内の文字が一致してしまった。
「何故、そんなことを?」
「決まっているだろう。彼女をリードするためだ」
「は、はぁ……」
侍従は、エドヴィン王子の思い人がリーゼであることを、これまでの諸々で十二分に理解していた。
だからこそ、侍従には理解不可能なことがあった。
どうして、あの極上のアレクサンドラではなく、ちょっとそこらへんにいる、ちょっと可愛い程度のリーゼが、エドヴィン王子の心をここまで掴んだのか。
「殿下ほどのお方であれば、ただそこに立っているだけで女性の心をお掴みになるのでは」
「それではダメなんだ……」
「え」
「俺の存在を、彼女にとって心地よいと思ってもらわなければ……俺は観察対象なんかじゃないことを証明しなければいけないんだ」
「は、はぁ……」
「そうでなければ、俺はアレクサンドラとセットじゃないと彼女にとって存在意義のない存在になってしまう」
「はい?」
「そうなるくらいなら、地獄に行った方がマシだ」
ただ相槌を打っているだけなのに、どんどん勝手に闇に落ちているエドヴィン王子を、侍従はどう扱っていいか分からなくなっていく。
その時だった。
「お待たせいたしました、殿下」
侍従には聞きなれない、凛とした女性の声がしたかと思うと、エドヴィン王子はハッと、顔をあげた。
まるで、餌を持ってきた飼い主を見て興奮したワンコのようだ、と侍従は思って、笑いを堪えるために口を抑えた。
「な、何で……」
「この姿がよろしいかと思いまして」
「最高ですニーナ様」
「え?ニーナ?何の話を誰としているの?あなたのことをニーナ様と呼ぶのは誰?」
「気にしなくて良いんですよーでもそろそろ、声でくらいは気づくようにしましょうねー可哀想なんで」
そこにいたのは、エドヴィン王子が一目惚れした時の妖精リーゼの姿、そのまま。
ちなみに、普段かけているリーゼのメガネは、ない。



