「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

「もう、ニーナってば!」
「……はい」

 温度差が、マグマの炎と氷山の氷くらい差があるリーゼとニーナの会話を、エドヴィン王子とアレクサンドラは息を飲みながら見守った。「ニーナがんばれ」と、心の中だけでエールを送りながら。

「談話室にいるならいるって、教えてくれればいいのに」
「言ったはずですけれど、聞いてなかったのはリーゼ様ですよね。相槌はしていましたけど」
「おかげで、お城中走り回ってしまったじゃないの」
「……へえ、走り回ったんですか。それを持って?」

 ニーナが寝巻きを指差したのを、アレクサンドラとエドヴィン王子もソワソワしながら見た。
 もしそれらが自分達のために作られたと城中の人間に知られたら、一体どんな噂をされるのだろうかと、考えることすら嫌だった。特にアレクサンドラの方が。

「当たり前じゃない!殿下とアレクサンドラ様の居場所を教えてくれたのも、メイドの方だったのよ」
「何て聞いたんです?」

 聞きたいような、聞きたくないような。
 エドヴィン王子とアレクサンドラは、半分心の耳を塞ぎながら、次のリーゼの言葉を待った。

「この寝巻きをお二人の初夜のために届けたいので今すぐ場所を教えて、と言ったらここを教えてくれましたわ」

 何故そこまで具体的に言うんだ、とリーゼ以外の3人は今すぐ城の窓から飛び降りたくなった。