「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

「それで?どうするのです?殿下」
「どうするって……」
「まさか、何も考えてなかったのですか?」
「…………そんなことは…………な…………」
「あるんですね。わかります」
「どうして言い切れる!」
「目が泳いでますことよ。ぎょろぎょろっと」
「くっ…………」

 アレクサンドラは、嫌になる程エドヴィン王子の側に居続けてしまった。
 確かに顔立ちはこの世界の誰よりも恵まれているだろう。
 誰もが憧れるようなしっかりと肉付きが良い体と青みがかった黒い髪、美術館にある才能ある芸術家でも生涯1度しか彫れないだろう、というレベルの傑作の彫刻のような顔立ち……。
 見た目だけは最高級。
 アレクサンドラもそれだけは、認めている。
 だが、こういういじいじした女々しいところや、抜けているところを、浴びるように見せられ続けると、もはや男ではない。
 可愛いペット、もしくは弟のようにしか思えなくなるのが世の常というものだろう。

「はぁ……仕方がありませんわね……」

 アレクサンドラは、ため息をつきながら、リーゼが怒涛の勢いで渡してきたスケッチを見た。
 自分とエドヴィン王子が恋人同士のように微笑み合っている絵。
 とてもうまい。このままでも、美術品としての価値がある。
 もしそんな絵でなければ、アレクサンドラはビリビリに破り捨ててしまいたいほど屈辱な絵でもあった。
 でも、そんな絵を渡してきたリーゼの、宝石のようにキラキラウルウルしたお目目は、とても綺麗だとアレクサンドラは思った。

「男はダメね。どこまでも」
「男を一括りにする癖、やめたらどうだ」
「ああ、言葉を間違えましたわ。殿下は、だめね。どこまでも」
「主語を変えるな!……それで、そこまで言うなら……何か良い案が、あるんだろうな?」

 エドヴィン王子が聞くと、アレクサンドラはくすりと、美しい微笑みでこう囁いた。

「私を、誰だと思っていらして」