「あ、アレクサンドラ様?どうしてここに……」
名前は知らないけれど、どこかで見たことあるような、特徴のない令嬢が、おずおずとアレクサンドラに話しかけてきた。
他の令嬢達は、こそこそと耳打ちし合っている。
アレクサンドラは、そういう姑息な真似をされるのが心底嫌いだったので、口角だけあげた笑みを返した。
「何やら、面白そうな話をしていると思いまして。ぜひ、私も仲間に入れてくださらない?」
「いえ、大したことではないです」
「あら。その割には随分と大きな声でお話しになっていらっしゃいましたわね」
「そ、それは……ですね……」
「あなたが答えづらいならいいわ」
元々、アレクサンドラが話したかったのは、こんな特徴がなくつまらない、それでいて下品な言葉遣いで人を貶めるような令嬢ではない。
「ねえ、あなた」
「は、ははははい!!!」
スケッチブックを握り締め、自分に対して妙に熱い視線を向けてくるリーゼに、アレクサンドラは近づいた。
「先ほどの試験、大活躍だったわね」
「そ、そそそれほどでも……」
アレクサンドラは「素晴らしかったわよ」と言いながら、令嬢達を威嚇した。
これ以上彼女達が余計なことをリーゼに吹き込み、リーゼがこの試験を脱落することになったら自分の計画が狂ってしまう。
自他共に認める、変態的な完璧主義者であるアレクサンドラにとって、そんなことは決して許されることではないから。
「あ、わ、私達はこれで」
そう言い残して、そそくさと逃げ出したどこぞの馬の骨的令嬢ズの背中を眺めたあと、アレクサンドラは改めてリーゼの方に振り返った。
そこで気づいた。
「何を、しているのですか?」
「今の横顔をスケッチさせていただいておりました」
「スケッチ?」
「はい!今日のアレクサンドラ様のご勇姿が素晴らしすぎて、目に焼き付けるだけでは到底足りませんでしたので」
あれ、この子なんかおかしいぞ?
そう、アレクサンドラが察するのは、とても容易かった。
「アレクサンドラ様が王妃陛下として立たれるお姿を想像するだけで、興奮いたしますわ」
「ちょっ、ちょっとお待ちになって。誰が、王妃陛下ですって?」
王妃になるのは第1王位継承者であるエドヴィンの正妃のみだ。
そのエドヴィンが王妃への望んでいるのは、目の前にいるスケッチブックを握り締めている令嬢ただ1人。
その人間が、王妃と想定しているのは、全く別の人間……つまりアレクサンドラなわけだ。
まずいぞ、これは。
アレクサンドラは、顔に出ない分、太ももからだらだらと垂れていく汗が気持ち悪いと思いながら、この勘違いをどう訂正するべきか、持ち前の頭脳をフル回転させた。
名前は知らないけれど、どこかで見たことあるような、特徴のない令嬢が、おずおずとアレクサンドラに話しかけてきた。
他の令嬢達は、こそこそと耳打ちし合っている。
アレクサンドラは、そういう姑息な真似をされるのが心底嫌いだったので、口角だけあげた笑みを返した。
「何やら、面白そうな話をしていると思いまして。ぜひ、私も仲間に入れてくださらない?」
「いえ、大したことではないです」
「あら。その割には随分と大きな声でお話しになっていらっしゃいましたわね」
「そ、それは……ですね……」
「あなたが答えづらいならいいわ」
元々、アレクサンドラが話したかったのは、こんな特徴がなくつまらない、それでいて下品な言葉遣いで人を貶めるような令嬢ではない。
「ねえ、あなた」
「は、ははははい!!!」
スケッチブックを握り締め、自分に対して妙に熱い視線を向けてくるリーゼに、アレクサンドラは近づいた。
「先ほどの試験、大活躍だったわね」
「そ、そそそれほどでも……」
アレクサンドラは「素晴らしかったわよ」と言いながら、令嬢達を威嚇した。
これ以上彼女達が余計なことをリーゼに吹き込み、リーゼがこの試験を脱落することになったら自分の計画が狂ってしまう。
自他共に認める、変態的な完璧主義者であるアレクサンドラにとって、そんなことは決して許されることではないから。
「あ、わ、私達はこれで」
そう言い残して、そそくさと逃げ出したどこぞの馬の骨的令嬢ズの背中を眺めたあと、アレクサンドラは改めてリーゼの方に振り返った。
そこで気づいた。
「何を、しているのですか?」
「今の横顔をスケッチさせていただいておりました」
「スケッチ?」
「はい!今日のアレクサンドラ様のご勇姿が素晴らしすぎて、目に焼き付けるだけでは到底足りませんでしたので」
あれ、この子なんかおかしいぞ?
そう、アレクサンドラが察するのは、とても容易かった。
「アレクサンドラ様が王妃陛下として立たれるお姿を想像するだけで、興奮いたしますわ」
「ちょっ、ちょっとお待ちになって。誰が、王妃陛下ですって?」
王妃になるのは第1王位継承者であるエドヴィンの正妃のみだ。
そのエドヴィンが王妃への望んでいるのは、目の前にいるスケッチブックを握り締めている令嬢ただ1人。
その人間が、王妃と想定しているのは、全く別の人間……つまりアレクサンドラなわけだ。
まずいぞ、これは。
アレクサンドラは、顔に出ない分、太ももからだらだらと垂れていく汗が気持ち悪いと思いながら、この勘違いをどう訂正するべきか、持ち前の頭脳をフル回転させた。



