「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

 これが、エドヴィンの想い人か……。

 一次試験と二次試験の間、アレクサンドラはポーカーフェイスの仮面の下で、ワクワクした気持ちでリーゼを観察していた。
 舞踏会の度に様子がおかしかったエドヴィン王子を軽く脅した結果、どうも彼が一目惚れをした令嬢がいて、その令嬢を見かける度に挙動不審な行動をとっていた……と言う、なんとも愉快な情報を手に入れることができた。
 アレクサンドラにも、エドヴィン王子以外の想い人がいた。だが、こちらの恋はなかなか成就するのが今のままでは難しいと、アレクサンドラは持ち前の頭脳で分かりきっていた。
 だからこそ、エドヴィンがこの婚約者試験を開くと聞いた時は、真っ先に協力を申し出た。その対価として、自分が想い人と添い遂げられるように尽力する事を、エドヴィンには無理やり承諾させたのだが。
 アレクサンドラに求められた役目は、リーゼが無事に選考を通過する事を、誰にも気づかれずにサポートする事だったのだ。
 とはいえ、自分にできることなど、手加減をするとか、少しリーゼの印象が選考を担当している侍従たちによく映るように振る舞うことだったのだが。
 ただそうなるとやはり、リーゼの元々持っている能力にも、依存せざるを得ない部分があるのは事実。全くないスキルを、より良く見せる方法などありはしない。魔法でも使わない限りは。
 せめて、一般的な令嬢のような教育を受けていて欲しい。リーゼの情報など、ほとんど何も知らないアレクサンドラは、ただ祈るしか出来なかった。
 ところが、そんなアレクサンドラの心配など嘲笑うかのように、リーゼはとんでもない成果を発揮してくれた。
 自分の名前を何度も連呼された気がしなくはなかったが、そんなことが吹っ飛ぶほど、アレクサンドラはリーゼのことが気に入った。
 この子がいれば、エドヴィン王子のお世話係を自分がしなくても済むどころが、自分の恋路が本当に叶うかもしれない。
 まさに想像しただけで、パラダイスではないか。
 そう考えたアレクサンドラだからこそ、リーゼが変な
令嬢たちにいちゃもんをつけられている現状が許せなかった。

 これで私の計画が狂ったら、どう落とし前をつけてくれるのか。

 内側に秘めた獅子を抱えながら、アレクサンドラはリーゼの前に現れたのだった。