「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

 どうして、という質問すらもう愚問だなとニーナは悟った。
 エドヴィン王子に情報を流した張本人が、家で大人しく待っているわけはないのだから。

「ごきげんよう、リーゼ様。ご懐妊なさったんですって?」
「申し訳ございません!」

 リーゼは勢いよく土下座しながら、さらにこう続けた。

「アレクサンドラ様のところに来るはずだった赤ちゃんを私が」
「ストップ、リーゼ様。ダーリン」
「はい」

 リーゼは、軽々とアレクサンドラのダーリンに担がれ、ベッドの上に寝かされた。
 その様子を、間近で見ていたエドヴィン王子はムッとダーリンを睨みつけた。
 
「そこの負け犬の情けない睨みは放っておくとして……」

 アレクサンドラは、リーゼのすぐ真横に座りながら、リーゼのお腹に触れた。

「いい、リーゼ様。間違っても、そこのチンアナゴと私のベイビーなどという恐ろしい存在の妄想はしないでくださいませ」
「え、ですが」
「そこにいるダーリンと私のベイビーだったら、いくらでも妄想してくださっても結構よ。さっきまで頑張ったものね」

 エドヴィン王子と言いアレクサンドラと言い、下ネタを1個でも言わないと死ぬ病気にでもかかってるんじゃないかと、ニーナは疑い始めた。

「ですが、アレクサンドラ様。私とエドヴィン王子殿下ではバランスが」
「それを言うのも、今日でおしまいにしてあげる。ダーリン」
「はい」

 アレクサンドラが指をぱちんと鳴らすと、ダーリンはまずリーゼの部屋にある大きな鏡をリーゼの前に置いた。
 それから、アレクサンドラに謎のガラス板を渡した。