「推しカプを拝みたいだけ」で王子の婚約者選抜試験に参加したのに、気がつけば王子の子を妊娠してました

「なっ……何故全員が否定する……!?」

 エドヴィン王子は、これまで生きてきた中で自分の発言に対して、その場にいる全員から「ない!×4回」と告げられたことなど、一度もない。
 先日の初体験(笑)に比べて、全く楽しくも嬉しくもない初体験に、エドヴィン王子は彫刻のように体が硬直した。

「それはですね、殿下……うちの可愛い妖精さんは、いつでもどこでも『エドアレが最強カップル!それ以外のカップリングは認めん!』って叫んでたんですよ」

 リーゼの父親が、これでも慎重に言葉を選んだんだろうな……とニーナは悟った。実際はそんな可愛いものではなかったから。

「うちの可愛い妹姫は『エドアレを見るためなら幾晩の徹夜も余裕だわ!』って言いながら、殿下がアレクサンドラ様とお越しになるであろう時に数時間前に場所取りに行くような子ですから」

 兄その1も、大体事実通りに言ったものの、やっぱり相当言葉を選んだんだろうな……とニーナは気持ちを察した。

 兄その2、3もいかにエドヴィン王子に対してリーゼが恋愛感情なんか持つわけがないという理由を、それぞれが見たまま……から少し遠慮がちに言葉を選んでエドヴィン王子に話し、大いにエドヴィン王子をショック沼に突き落とした。

「そ、そんな……」
「殿下、申し訳ありません。少々変わった趣味を持った娘ではありますが、一応我が家にとっては可愛い娘ですの。ですが、殿下の妃として嫁げるように育てておらず、気持ちもアレですから……。殿下の子供を妊娠したとおっしゃっていただいたのは、殿下に仕える騎士か誰かのためを思ってお越しになったのでしょうが、そのような気遣いは結構ですから」

 リーゼの母は、あくまでもエドヴィン王子の気遣い(と本気で信じている)に感謝をした。が、その後すぐ見せたエドヴィン王子の表情の変化に、これまで感じたことのない嫌な予感がした。

「俺以外の男が、リーゼの子供の父親だなんて、いくらお義母様とはいえ、そのようなことは今後くれぐれも言わないように」

 ニーナは、早口で捲し立てたエドヴィン王子に、心の中で同情しながら「どうおさめるかな〜この場を」と考えていた。
 
「信じられないと言うのなら、いかに俺たちの初体験が素晴らしいものだったか語っても」
「はいアウトアウトアウト!!」

 ニーナは、エドヴィン王子の暴走を素早く止めた。