冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ




元カノとか、死ぬほどいるだろうし。傷つくだけだから絶対聞かないけど。

「俺、準備してくるから」

「あ、うん!」


━━━━15分後。


凪くんが準備を終えたみたいで。鍵をかって一緒に学校へ行く。


「凪くん、今日ブレザーきてるんだね」


「うん」

「なんで?」

「最近寒いから」

こんなくだらない会話でも、凪くんとならいくらでもできる自信がある。

凪くんはそんな私の自信が迷惑かもしれないけど。

でも、凪くんは本当は優しい人、だと思う。

だって私を救ってくれたのは、凪くんだから。


今年の3月。急にお母さんに一人暮らしをしなさいと言われた私。私の家はもともと貧乏で。高校進学のお金すら、私が特待生制度を使って無償で入れるレベルの高校を選んだくらい、なのに。