冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ



ますます顔をしかめる凪くん。はぁ。と、分かりやすいため息1つ。

……分かってるよ。めんどくさい女だってことは十分に理解してる。

それでも、



「泣くなって」

「ふぇ、」

ぎゅっと頬をつかまれてタコみたいな顔をさせられる。こんな不細工な顔、好きな人に見られたくないのに。そう思ったら凪くんの顔が近づいてきて、

「……学校一緒に行ってやるから」

ちゅ、と軽いリップ音。一瞬だけ、唇が落とされた。熱くなる唇の感触。

「い、今凪くんキスしたよね!」

「したけど、朝からうるさい」

……慣れてるなぁって思う。キスひとつでこんなに嬉しいし、照れてしまう私と違って、すねてる子供をなだめたみたいな表情をしている凪くん。