冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ



「でも俺今日まだ寝る気分」

「え?でも、一緒に行ってくれるって……」

「……そーだっけ」

あっけからんと言って大きな欠伸を一つした凪くん。目を擦って寝室に行こうとしたから、

「……なに」

「っ、」

気づいたら、凪くんの服の裾をつまんでいた。顔をしかめる凪くん。

「なぁ、黙ってんなら離して」

「や……、やだ!」

こういう所が子供っぽいんだろうけど、今回ばかりは譲れない。だって約束してたんだもん。私だけ楽しみにしてさ、バカみたいじゃん。

ああ、私なにやってんだろ。自分の置かれてる状況が、だんだん惨めになってきて、じわりと涙が滲んだ。


「こんくらいで泣くの?……めんどくさ」