「もう課題は終わってる。これは2周目」


「っえ!?だったらなおさら……」


「電車に乗るのがめんどくさい」


この話は終わり、というように再び問題を解き始めた。


全然構ってくれないことに苛立って、頬を膨らませる。

思わず凪くんのワークを解く手を掴むと、黒い瞳と視線がかち合う。


「なに」

「別にいいじゃん。一緒に行ってくれたって」

「……みたい」

「え?」


メガネを外して折り畳んで。怪しげに笑った凪くん。珍しい笑顔にドキッとしたけど、


「一葉のさっきの顔、猿みたいだった」


━━━━一瞬で怒りのドキドキになる。


さっきって……。あの頬を膨らませたときの顔のこと、だよね。