冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ



「……お前は、いつもの髪の方がいいよ」


「へ?なんて……」


「なんもない。キス、集中しろよ」



また再開されるキス。だんだんと全身に熱が回っていって、凪くんのキスが毒のようにさえ思えてくる。


「ふ、凪く、好き……」


たまらなくて、口から溢れ出た思い。でも、凪くんはそれに絶対答えてくれない。

「……」


どうして無言なの?私、彼女なんだよね?


「好き」って返してよ……。


凪くんに1回でいいから好きって言ってほしくて切なさから涙が出てくる。


熱で意識が朦朧としていて、気持ちよすぎる生理的な涙も止まらないから、何が何だか分からない。


でも、滲む視界の端でなぜか辛そうな顔をしている凪くんが見えた。


ねえ、凪くん。どうしてそんなに、

辛そうな顔をしてるの?


疑問に思うけど、甘いキスに溶かされて何も考えられない。

結局凪くんがキスをやめたのは、私が意識を手放すときだった。