教室に入ると、わっとクラスメイトが集まってくる。もちろん、私じゃなくて凪くんに。


「凪、おはよー!」

「相川くん、おはよう」


可愛い女の子、クラスで目立ってる男子。キラキラしてる人たちが、凪くんに話しかけに言ってる。つまり凪くんも、そのクラスで目立っている人。


凪くんは目立ってるで収まらず、クラスの不良たちを手なずけちゃってるくらいだけどね。なんていうか、凪くんにはそういうオーラがある。絶対逆らえないって分かる、強大なオーラ。


「あれ?中村さんといんじゃん。一緒に登校してきたん?」
「あれぇ、中村さんいたんだ。おはよう」

『いたんだ』なんてわざわざ言わなくてもいいのに。女の子の目が笑っていない笑いには、曖昧に笑って返すのが1番。私みたいな地味子が凪くんと登校してるなんて気に食わないのは分かるけどね。