冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ


目の前で手を組んで私にお願いしている松嶋さんはすごく可愛いし。


男の子だったら誰でも松嶋さんを選ぶよね。


でも私も凪くんとデート行きたいし……。


「ねぇ、中村さん。協力してくれるって言ったよね?」



「……うん、いいよ」


鋭くなった松嶋さんの目つきには逆らえなかった。


きっとここで断ったら女子の間で私の悪口大会が始まるんだろうし。

凪くんもきっと松嶋さんとのデートの方が楽しめるだろうなぁって自虐的に考えていたら、


思わず笑ってそう答えてしまっていた。

その後も放心状態でお肉を食べていたら、


「あ、俺予定あるからそろそろ帰るわ」

中心で響いた凪くんの声。


ええ、凪くん帰っちゃうんだ……。
クラスのみんなはえー、とかまだいてよー、とか不服そうな声を出してる。

そりゃあそうだよね。あんなに人気だもん。

はぁ、と思いため息が出てしまう。
デートを取り付けるのを手伝うと言ってから後悔しても遅い。分かってる、けど。
凪くんとデート、したかったなぁ。


出口の方へじゃーな、と言って出ていく凪くんを見ているとなんだかヤケクソになってきて、ドリンクバーに行ってエナジードリンクをたくさんついできた。
ピッ、ピッと無機質になる音。


「か、一葉。多すぎない!?」


「だいじょーぶだもん……」


今の私にはこのくらいのエネルギーが必要なはずだもん。