冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ



「……な、凪くん」



一瞬で接客スマイルが崩れてしまった。


だってそこには、



「あれぇ、中村さんだ〜!バイト?大変だね」


「すごいね、平日にバイトするなんて」



凪くんと仲のいい人達がたくさんいたから。
もちろん松嶋さんも。


昼間に言っていたとおり、勉強会をしているみたい。

彼らの机には見慣れた問題集やら参考書やらがたくさんあった。



胸のあたりに黒い感情が渦巻いたけど、今の私は''このカフェ店員''。


責任を持たないといけない立場だから、必要以上に笑いかけることもそうでないこともしてはいけない。




「……ブラックコーヒーとメロンソーダですね。おまたせいたしました」



「あ、メロンソーダあたし!コーヒーは凪のだよ〜」



「はい、こちらですね」


トレーをそっとおいて、彼らの前に出す。



……やめてよ、


凪くんが苦いコーヒーを好きだって知ってるのは私だけなのに。