冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ



「どうしたんですか……?」


クラス中の視線がこっちに向くのを感じながら目立つのが嫌な私は小さな声で先輩に話しかけた。


「はい、これ。新しいデータができたから渡しとこうと思って」


渡されたのは文化祭実行委員の資料。


ああ、急がないといけなかったやつだ……!


「よかった……!ありがとうございました……!」


お礼をいうとにこ、と微笑んで友達と去っていった先輩。


ありがたい、けど。


凪くん達の方に目をやるともうすでに輪になって楽しそうに話していて。

あの中にはどちらにせよ入れそうにないと諦めるしかなかった。



「ねえ、一葉。今の人知り合い?」


「うん、そうだよ」


「ええ、すご!あの人どの女子にも自分から行かないって有名なのに……」


「そうなの……?すごく気さくな人だけど……」


自分からいかない、とはすごく先輩と対局的な言葉な気がする。