冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ



グッと手を伸ばしてカゴに手を伸ばすと、指先が触れた。


「やった!取れ……、わあっ!?」


「っ、一葉ちゃん!?」



腕と指だけに神経を集中していたのがいけなかったのだろう。


視界が大きく揺れて足元がふっとなくなるカンカク。


落ちる、と思ったときにはもう遅い。


衝撃に備えてぎゅっと目をつぶったときだった。


ボスッ


落ちたにしては生ぬるい音に混乱する。


「危な。大丈夫?」


目の前には長久手先輩。


数秒たって何が起きたのかを理解する。


先輩はイスから落ちそうになっていた私のしたじきになってくれたんだ。


「っあ、私は大丈夫です。すみません、先輩は大丈夫ですか……?」