冷酷王子がわたしだけに冷たいワケ




「何回も呼んだんだけどなにぼーっとしてんの」



軽く笑いながらそう言ってくる。



「ごめんね、」


「「……」」


そこまで言ってまた黙ってしまった。


頭の中に依然として渦巻いているのは松嶋さんのこと。


なにか言わないと、とは思うけど、口がカラカラに乾いて言葉が出てこない。


「なあ」


そっと頬に凪くんの手が添えられる。


頬に伝わる感触は冷たくて、まだ少し熱いそこには丁度よかった。


凪くんの顔はやっぱり寸分の狂いもなくて。


目、鼻、口、輪郭。


全ての配置も、大きさも、形も人形のよう。


綺麗な黒髪も、その美しい顔を際立たせている。



「なんかあった?」