部活は9時からだけど、1年生は道場と部室の掃除や準備があるらしく。
匠刀はそれも考慮して8時前に自宅を出発する。

匠刀が軽快に走っている姿を見て、カッコいいなぁとは思うけど、悔しくならないはずがない。
私だってあんな風に、全力疾走じゃなくてもいいから、走ってみたい。

ウォーキングでも、早歩きでもなく、ジョギングを。



塾は理数コースにプラスして、英語のクラスを幾つか組み込んでいる。
一日中理数ばかりでは、さすがに得意でも嫌気が差すから。

「モモちゃん、おはよう」
「……おはよ」

学校で同じクラスの木下くん。
同じ講師のクラスを選択しているらしく、度々会う。

私からは話しかけたりできないけれど、話しかけられたら挨拶くらいはする。

匠刀からは、男はガン無視OKだなんて言われてるけど。
さすがに、高校でも塾でも同じクラスの子を無視はできないよ。

休み時間はあっても、話せる友達はいない。
作ろうと思えば作れるのかもしれないけれど、別にいなくても問題ないから。



お昼休みは途中のコンビニで買ったサンドイッチと小パックのお惣菜。
それと、ノンカフェインのお茶。

スマホでメールのチェックをしながら、食べるのがいつもの過ごし方。

『今日の昼飯、何?』

塾の昼休み時間を知っている匠刀からメッセージが届いていた。
仕方なく、テーブルの上をカメラでカシャ。

毎回、私の昼食も把握したいらしい。
ここまでくると病んでるとしか思えない。