「彼らが家族のために歌うのは、雛が生まれたときにも聞いただろう。きっとなにかを感じる力があるんだ」

 立ち上がったランベールがリティを抱き締める。

「君を愛する家族は大勢いるようだが、夫は俺だけだからな」

「はい!」

 ふたりは当然のように口づけを交わした。

 これまでが許されない関係だったこともあり、ついにと呼べるキスだった。

 なにが起きたのかと驚いていた参列者たちだったが、最初に候補者のひとりが拍手したのをきっかけに手を叩き始める。

 物語の一節として語り継がれそうな劇的な結末を、祝福しない者はいなかった。