「これより、ランベール・エリゼ・エモニエ殿下の妃を選定する」

 高らかに告げたのはイーゼル卿だった。

 リティは彼にされた嫌がらせを思い出し、少し顔をしかめる。

「候補者たちは、前へ」

 ブランシュの一件以来、試験は行われなかった。

 邸宅の復旧作業や、ほかに怪しい者がいないか調査に人員と時間を割かれていたのと、試験をしている場合なのかという声が候補者たち本人からあがったためである。

 よって、彼女たちはこの場で選ばれることになった。

 リティも含めた候補者たちが広間の中央に横並びになり、玉座に佇む国王夫妻に頭を下げる。