「そういえば彗ちゃん、いつから春休みになるんだっけ?」


「あ…、16日から」


「16日…、って、来週の水曜じゃない。そのぶんお昼も用意しなくちゃってことよね?」


「……はい」



卵焼きを掴んだ箸の動きが止まるだけじゃなく、なぜか敬語になった。


3月に突入して2週目の朝。

今日はあまり良くないことが起こりそうだと、話題を変えることにした。



「春休みに入ったら畑とか…手伝うよ」


「あら、ねえあなた。彗ちゃんがこう言ってくれてるわよ」


「…いい、いい。俺の畑だ」



無口無表情な伯父は、それだけ言って居間を出ていった。


あんなにも冷たい反応があるだろうか。

どうにも父と伯父は昔から意見の食い違いが多かったというし、仕方ないことなのかもしれないけど。


俺の畑だ、って…。
つまり部外者は立ち入るなってこと。