「……まあ、思ったより品揃えもあるし」



この町に市が経営している図書館はないのかと聞いた数日前。

どうにも市街地方面へ下っていかないと無いらしく、ちなみに車で20分ほどだと。


私の場合、それがぜんぶ交通機関&徒歩に変換されるのだから憂鬱だ。


仕方なく学校の図書室に向かった、4日目の放課後。



「あと、景色がいい……かも」



火曜日と木曜日は放課後も開放されているようで、ちょうど木曜日の今日は助けられたものの。

また明日はどうしようかと悩む。



「あのー、もう本は借りませんか?」


「え、あ…はい」



妥協的な独り言を披露していた私に声をかけてきたのは、図書委員らしき女子生徒。

上履きの色を見て1年生だと理解。



「なら、帰りますねわたし。もう生徒も来ないだろうし」


「え、でも…鍵とか」


「このあと先生が来ると思うんで。ちょうど交代になってるんです」


「…そう…なんですか」