聞きながらこっちに来た千晃は、わざわざ私のとなりに座って、嫌味ったらしくソファーの背もたれに腕を引っかけた。 領域侵害(りょういきしんがい)をしてくるのはいつものこと。 「まーた甘ったるいのか」 「そうです、わかったら好きなとこ行って、甘いもの苦手な人?」 「へぇへぇ」 足まで組んで、どこかに行く気配はまったくない。 しょうがないから、私は千晃を無視してマグカップに口をつけた。 とろり。濃厚(のうこう)な甘さが口いっぱいに広がって、「んん~」と思わず歓喜(かんき)の声がもれる。 ここが天国だ。 「美味(うま)そうに飲むな」