「ふー、ふー…」




 いざ…!




「なに、ニヤニヤしてるんだ?」


「んっ、千晃(ちあき)…!?」




 ムダにかっこいい声がして目を向けると、廊下(ろうか)からルームシェア仲間の一人が来ていた。


 鎖骨(さこつ)が見えるラフな黒シャツにジーパン。

 シンプルな格好(かっこう)だから顔のよさが引き立っている。

 くねくねした髪と同じ、性根がひねくれたやつ。


 いいのは見た目だけだ。




「あんたには関係ないでしょ、今いいところなんだからジャマしないでよ!」


「ふーん?独り言がはげしかったから見に来てみれば…ココアかなんか?」


「ホットチョコレート!って、こっち来ないでよ」