キス、された…っ?




「この瞳だけを、ずっと見つめる」


「っ…!」




 彼が少し身を引くと、熱を持った瞳とちょうど視線が合う高さになった。

 甘く、とろけてしまいそう。


 そんな目で、見つめないで…っ。




「俺が見ていたいのも、話していたいのも、触れたいのも、手を繋ぎたいのも」


「ひぁ…っ」


「…キスしたいのも。君だけだよ」




 (そむ)けた顔を前に戻されて、目元をほんのり赤く染めた彼と、強制的に見つめ合わされる。

 頬からあごに滑り下りた指が、その先端をくい、と持ち上げた。


 あぁ…。

 ドキドキなんて言葉では、足りない。

 甘い拍動が全身に広がる。


 まぶたを下ろした彼を見て、目をつむりながら唇に神経を集中させてしまったわたしは、もうすっかり…。

 落とされてしまったのかもしれない。




 chu♪






fin.