お昼休み、人がまばらにいる中庭のすみで名前を呼ばれて、私の“魔法使い”、レナードくんと座ったまま向かい合う。
肩につく長めの金髪はハーフアップで結ばれて、褐色の肌に一束たれた前髪の横で、目尻がつり上がった金色の瞳が閉じられた。
私の後頭部を抱き寄せる手は大きくて、すこし強引。
キスをしたあと、レナードくんは体の前に出した手のひらの上に、ポンとお肉をはさんだサンドイッチを出現させた。
それをかじりながら、もう片方の手にポンとジャムをはさんだサンドイッチを出現させて、「ん」と私に差し出す。
「今日も、ありがとう」
お礼を言って、受け取ったサンドイッチをかじると、甘酸っぱいオレンジの味が口のなかに広がった。



