夢みたいな急展開についていけないから、ちょっとだけ待って欲しいかも…!

 という、心の声が聞こえるはずもなく。

 黒瀬くんは妖しくほほえんで私の唇を食べた。


 舌の上でチョコを溶かしてゆっくり味わうように、私をとろけさせて、深く深く味わおうとしてくる。

 あ、とか、う、とか、言葉にならない声しか出せなくて、黒瀬くんの学ランをぎゅっとつかんだ。




「白鳥のぜんぶ、欲しい」


「っ…!?ま、まって、くろせくん、あの、なんで…っ」


「なんでって、ずっと好きだったから。入学式でスピーチしてる白鳥の声を聞いて、ちょっと緊張(きんちょう)してる顔を見て、かわいいなって思ってた」


「え……?」