「く、くろせく…っ」
「白鳥からチョコもらえたら、バレンタインのゆううつとか吹き飛ぶなって思ってた」
「っえ…?」
「気持ちがなくてもよかったんだけど。白鳥本人がもらえるとか、うれしすぎ」
さっきから耳に入ってくる黒瀬くんの言葉は、私の幻聴なのかな?
今年度おなじクラスになった、っていうだけで、ほとんど話したこともない私に対して、なんで人気者の黒瀬くんが…!?
なんて混乱しているあいだにも、唇はふれて、離れて、ふれて。
「…手ぇ早い男、引く?」
黒瀬くんがすこしだけ離れて、クールな目をまっすぐ向けてきた。
黒瀬くんに対して、
「引くとか、ないけど…っ」



