静かになった室内。

 窓に近づいた。

 二階にあるこの部屋は、もともとは客室だった。その部屋を使わせてもらっている。

 窓からの景色がとても素晴らしい。

 フェリクスは、隣の部屋にいる。

 この屋敷で一番大きな寝室で、いまはもう眠っているはず。

 窓からガラス扉へ行くと、それを開けてテラスに出てみた。手すりに両手をつき、空を見上げる。

 孤高の月が、今夜も煌々と大地を照らしている。

 知れず溜息をついていた。