「立ち話もなんですから、この前の食堂に行きませんか? まずは座って、それから腹ごしらえをした方がいいでしょう」

 彼がそう提案した途端、お腹の虫が盛大に騒ぎ始めた。

 まるで彼の提案に大賛成しているかのように。

「ほら、あなたの腹は正直ですよ」
「まぁっ、ごめんなさい。今朝は朝食を食べる暇がなかったもので……」

 しなくてもいい言い訳をしてしまった。

 恥ずかしすぎる。

 顔が真っ赤になっているのがわかる。

 真っ赤な顔のまま、近くを通りかかった医師に「今日はもう帰ります。また明日」と告げた。