「すっごい呪い……が、私に?」


 なんのことだかわからない。そんな自覚なんてない。


「あ、もしかして……また、からかってる?」


 呪いなんて突然言われても、本当の話だと思えない。曖昧(あいまい)に笑って()いたけれど、男の子の眼差(まなざ)しは真剣だ。


「いや? 俺はずっと真面目に言ってるし、本当のことだ」


 思わず、言葉を失った。私に、『すっごい呪い』がかかってる? それが本当のこと?


「……それで、私はどうすればーー?」


「俺に寄越(よこ)せ、その呪い」


 理解が追いつかない。呪いって、人にあげたりできるんだっけ。


「えーと、できることなら、どうぞ……?」

「いいんだな?」


 いいも何も、呪いなんてない方がいいに決まってる。こくこくと(うなず)くと、男の子は私に向かって手を伸ばした。


「それじゃ、ありがたくーー」


 指先は、私のヘアピンに触れる。つい、その手を振り払った。


「まっ、待って! 何するの!?」

「何って、呪いをーー」


 男の子が言いかけた、そのとき。

 ぴょこ、と、男の子の頭に何かが生えた。


「え、ええっ!?」

「あ、やべっ」